採用を勘違いしてはいけない
とある現場で新たなサービスの開発を行うにあたり、以下のいずれかの人材を採用しなければいけなくなったとする。
- A さん:コミュニケーション能力に難はあるが、サービスの開発を完遂する能力を保有している
- B さん:コミュニケーション能力は問題ないが、サービスの開発を完遂する能力を保有していない
あなたが採用に携わる人物であった場合、いずれの人材を採用するか。
自分はフロントエンドプログラマーなので、横軸では Web デザイナーからバックエンドプログラマーまで、縦軸ではプロダクトオーナーの領域くらいまでしかせいぜい把握していません。
その上で、上記のケースで選ぶべきは 100% A さんを選ぶと思います。
なぜなら、サービスがリリースできなければお話にならないからです。
コミュニケーションに難があろうと他になにか問題があろうが、サービスを完成させてリリースするということ、これはとても重要なポイントだと個人的には思っています。
ところが、日本の多くの現場では B さんを採用しがちだよなぁと、ちょくちょく感じるケースがあります。
残念なことに、仕事を完遂できないメンバーを大量に揃えたところでサービスは完成しません。
もちろん、部分的に完遂できないメンバーを複数人集めて、互いの苦手領域をフォローしあうことで完遂させることができるのであれば何の問題もありません。
むしろこれこそがスクラムの考え方ですよね。
で、Web サービスの開発に限った話でいうと、多くの現場ではある程度のコミュニケーション能力を有した Web デザイナーとフロントエンドプログラマーとバックエンドプログラマーを揃えたらなんとかなるだろうと考えているように見えますが。
残念ながらコミュニケーション能力がいくらあろうと、技術力がなければお話にならないわけで、そこは決して軽視して良いポイントではないわけです。
ここ 1,2 年ほど、仕事でもプライベートでもフロントエンドプログラマーの育成に携わることが多くなってきたのですが。
日本の Web デザイナーおよびプログラマーの技術力の低さはシャレになっていません、ストレート言うならお先真っ暗だと思っています。
本ブログでも何度も触れてきましたが、上が知識を有していなければ下も知識を有しておらず、開発の現場は崩壊しきっています。
とにかく人海戦術で乗り越えよう!みたいな脳筋プレイでゴリ推している現場ばかりで、数百万数千万円という金をドブに捨てている始末です。
なぜこんなことになってしまったのか。
コミュニケーション能力云々は関係なく、単なる技術力不足が原因であり、日本の現場の技術力軽視がすべてを招いてしまったといっても過言ではありません。
よく大学生は即戦力目的でなく、育成を前提とした採用という表現を耳にしますが。
残念をながら上にも書いたとおり、上の人間が技術力を有していないがゆえに、下の人間も育っていません。
しかもたちの悪いことに、下手にコミュニケーション能力ばかり有しているので、自身の技術力の低さを隠しつつ、うまーい具合に下を洗脳していくヒトがあまりにも多いです。
ことフロントエンド開発に限れば、個人的にそこまで複雑なロジックを理解する必要もないし、そこまで難易度の高い実装が求められることもありません。
にもかかわらず今のこの惨状は、技術力不足が招いたとしか言いようがなく、ひいては日本人の努力不足、努力嫌いが招いた結果だよなーとつくづく感じます。
そんな状態で即戦力採用というのは夢のまた夢の話です。
いろんな現場で採用に関わってきましたが、どこの現場も市場に存在しない人材を募集しているわけで、そら見つからんわと。
仮にハイスキルな人材の採用に成功したとしても、その人材をコントロールできるだけの土壌が現場に存在しているのか、果たして疑問ではあります。
なので多くの現場でしなければいけないことは採用ではなく育成なのかなと、個人的には感じます。
とはいえ経験上、伸びるヒトは勝手に伸びるし、伸びないヒトはいくら時間と金をかけても伸びません。
上は教えることができるだけの技術力を有していない以上、下の人間が自ら成長していく必要があるわけで。
会社としては下の人間が勝手に成長していけるような環境を提供していくことが大切なのかなーと、個人的には思っています。
もう少し加えるなら、個人プレイが活きるようなフィールドの提供ができるかできないか、そこで少しずつ差が出てくるのではないかなと。
一方で、伸びる気配のない人材の損切りも重要なポイントです。
伸びるヒトは勝手に伸びます、でも伸びないヒトのほうがやはり多数なわけで。
そこでシビアな判断を下すことができれば、まだ未来の暗い日本であったとしても、まだ良い方向に向くことはできるのかもしれないと、個人的にはそう信じています。
採用って難しいですが、採用の基準を誤ってはいけないです。
過去、現在、そして未来を見据えた上で、どういう人材を雇うべきなのか。
個人的には、多くの現場では採用を行うよりも、すでに存在するヒトの状態を正しく見定めるところから始めるべきではないかなーと思っています。
そのヒトが会社にとって本当にプラスになっているのか。
毎月たくさんのお金を支払っているわけですから、それに見合う成果を上げているのか。
そこをシビアに見ることができなければ、せっかく良い人材を採用できたとしても、すぐに腐らせてしまうのではないかなーと感じる、今日このごろです。